在宅勤務がスタートして、もうすぐ1年経とうとしている。
始まった当初は出勤しない生活は非日常で、在宅でのリモートワークは気持ちの切り替えができなかったりもした。
当時は少しでも気持ちにメリハリをつけるために、緊張感を持って仕事に臨むために、誰に会うわけではなくても朝は簡単に化粧をするように心がけていた。
誰もがリモートワークに不慣れだった当初は、MeetやZoomなどのテレカンの際もカメラをONにして、こちらの表情が相手方から確認できるようにしてテレカンを行うことが多かったことも、さぼらずにメイクをしていた一因だ。
特に、取引が始まってまだ時間の浅いクライアントとのやりとりや、プロジェクト立ち上げから間もないメンバーとのやりとりは、顔を見た上で会話できる安心感が重要な意味を持つフェーズもあったりするし。
が、在宅期間も長くなり、最近では顔出しでテレカンをする機会も減りつつある。
家での業務は日常となり、在宅勤務のための1日のタイムテーブルもすっかりルーティン化してきた今日日、メイクや着替えと言った”気持ちの切り替えの儀式”もおざなりになってきた。
そうなると、ずぼらでぐうたらな私が「メイクするのが面倒くさい。できれば手を抜きたい」と考え始めるのは当然の理。
(そんなわたしも女の端くれ。
ちょっと外出したいときに自分の気持ちを上げるためにするメイクは、もちろん楽しいのである。アイシャドーがうまく乗った時とか、肌の調子がいい時とか、やっぱりテンション上がるし、ね。)
クライアントとの顔出しMTGがある日以外は、ファンデーションを塗らずに、日焼け止め下地+眉+アイライナーくらいでパパッと手軽に済ませるようになってきた。
顔出しの予定がない日は日焼け止め下地だけの日もある。
カメラをOFFにしておけばよい話なのだが、如何せんMeetだと、カメラがONになるのがデフォルト設定なので、OFF設定を忘れたまま慌ててテレカンに参加して、すっぴんが画面に映り込むこと10分、ようやくすっぴんのわたしの顔が電波に乗っていることに気づくこともある。
特に朝とか夜とか。
仕事柄、業務開始前や業務終了後にメイクを落とした後にプロジェクトメンバーから連絡が入ることもある。
「急ぎで確認したいことがあって今ちょっといいですかー?」というノリの電話を受けて「ハイハイ、大丈夫っすよー」などと安請け合いして、「画面を共有しながらの方が伝わると思うので、続きはMeetで」なんて流れでテレカンに雪崩れ込み、気付いたらわたしのすっぴんが画面に大写し。
眉の薄れた締りのない顔に赤面しながら、「すみません、放送事故です。お見苦しいものが画面に。。」などと慌てて画面をオフするといった塩梅だ。
せめて眉くらいなんとかしたいのだが、もう寝起きとかね、起きてすぐ朝食とってるときに受ける電話のために、眉を描くとか現実的ではないのである。
なので、眉が描いてある状態を作っちゃえばよくないか、という発想になる。
消えない眉が欲しいけど、アートメイクは怖い
昨今、Twitter界隈で眉のアートメイクが話題のようだ。
アートメイクっていうのは、要するに刺青的なものらしい。擦っても水に濡れてももちろん消えないのだけれど、「消せない」ということでもある。
眉ってなんだかんだで、メイクの流行りが反映されるパーツのひとつじゃないですか。
今のやや直線気味な太眉ブームもいつか終焉を迎えるかもしれない訳で、アーチ型の眉が流行っちゃったら困るな、と思ったりした。
加えていうと。
わたしは20代の頃に楽天に勤務していたのだけれど、営業部署の在籍だったこともあって当時の会社はわりとイケイケの肉食女子が多く、眉ではなくアイラインのアートメイクをしている人も何人かいた。「すっぴんでも目がくっきりするし、朝のメイクが時短できるので超便利よ」とおすすめされることも多かった一方、「黒〜茶の色合いだったアートメイクも、時間が経つと発色が悪くなってきて、青っぽい色合いに変わってくるらしい」というような話も漏れ聞いていた。
それも15年も前の話だし、今は技術が向上してそういうことはないのかもしれないけれど。
まあ、何れにせよ刺青なので多少は痛そうである。顔に刺青ってなんか怖いし。
ということで、お手軽な眉ティントを試してみることにした。
眉ティントとは
眉部分の皮膚に耐水性の油性の着色料を塗り、皮膚そのものを染色してしまうものである。とは言っても、真皮とかまで染まる訳ではなく、染色範囲は皮膚の表面だけ。
なので、数日経過して、角質が剥がれ落ちれば、眉も元通りになる。
2日程度で落ちてしまうのであればあまり意味ないけれど、4日とか1週間とか持ってくれるならば、ちょっと便利かも?と思ったのである。
で、買ってみたのはFujikoの眉ティント。
口コミや各ブランドの商品を比較しているサイトを参考に、比較的日持ちするらしいという情報をもとにチョイスしてみた。
カラーバリエーションは3色ある。
わたしは、もともと髪も瞳も色素濃いめなのだけれど、髪は少しトーンアップして、メッシュも入れている。でもこの中ならば暗めの色でいいかな、と思ってショコラブラウンをチョイスした。
で、届いたのがこちら。
ふむふむ。
パッケージには「消えないナチュ眉なら「寝起き」かわいい。」のキャッチコピー。
もはやわたしにはなんのこっちゃだが、20代とかで付き合って間もない彼がいて、家に泊まりに来たりした時に、「お風呂上りで眉毛が消えちゃうのはいやだな」とか「朝彼より早起きして眉毛だけ描こうかな」みたいなことを考えちゃう初々しいタイミングにあっては、女子のインサイトを鷲掴みしそうなコピーであるな。
「塗って剥がすだけ」の文字も。
ほうほう。なんか手軽そうだし、早速試してみようか、と腰をあげた。
実物は眉マスカラくらいのサイズで円筒状のスティク
サイズ比較のためdejavuのマスカラと一緒に。
内容量は6mgだけれど、何回分なのかな。
パッケージの裏側には、使用手順も記載されていた。
使用手順の箇所を拡大すると…
- 好みの眉の形になるように、眉ティントを眉の上から塗る
- 自然に乾燥させる
- 乾燥したら剥がす
の3ステップのみで完了するみたい。
手抜きしたくて手を出した眉ティントに時間をとられては本末転倒なので、この手軽さはうれしい。
実装するぜ
では早速、実装してみますよ。
ちなみに、わたしは夜、化粧を落としてスキンケアを済ませた後、眉部分の油分を化粧水で拭き取ってから眉ティントを塗り(脂分が残っていると染料の効果が落ちそうなので)、眠って翌朝に剥がす、という手順にしてみた。
でも、1時間も乾かせば十分らしい。
以下、画面をスクロールすると、すっぴんの、毛穴の浮き出た肌が出てくるので要注意。
まずは塗る前、ビフォーです。
どん!
わー、眉まばら。そして左右が非対称。
もともと眉は濃い方なのですが、眉下の毛量が左右で均等じゃない。
世代的に、多感な高校生時代に安室奈美恵がファッションリーダーの一人としてもてはやされていた時期を過ごした世代。
わたしはギャル志向ではなくて、愛読雑誌もCanCamとかの赤文字系ではなく、原宿カルチャーの青文字系の高校生だった。心のファッションリーダーは篠原ともえだったんだけれど、それでも眉は細くしていた時期があった。
二十数年の歳月を経ても、眉下の心許なさにその名残が伺える。若い人は細眉が流行っても、眉を抜きすぎないように注意だよ!眉毛は、数十年経っても黄泉の国から復活してこないからね!
そして、眉間のシワよ!
1日勤務上がりの風呂上りにこれだけシワが寄っているとは、日中どれだけ眉間にシワを寄せて過ごしてしまっているのかと、反省しきりである。
40代になると自分の顔に責任を持てとも言われるし、できることなら穏やかな顔をして日々過ごしたいものですが、なかなかどうして難しいものである。
さて。
次に、さっそくですが眉ティントを塗ります。
どーん。
眉に海苔の佃煮を貼ったかのような。
イモトアヤコさん的な感じ。
夫はこの姿をみて「なんか既視感あると思ったらおぼっちゃまくんだわー」と言っていた。
今の20代の方は「おぼっちゃまくん」を知らなかったりするのかな。
わたしは、80年代TV放送されていたアニメを幼少期に見ていた世代。
確かに焼き海苔を貼ったような眉毛が、似ているかもしれない。
その後も「ちゃま〜」「ちゃまちゃま〜」と、くすくすニヤニヤしながら声をかけてくる夫。(ちゃま、ちゃまちゃまは、おぼっちゃまくんの父親がおぼっちゃまくんを呼ぶときの愛称)
最初はわたしもおぼっちゃまくんの口調を真似て、一人称を「ぼっくん」(おぼっちゃまくん本人は自分のことを「ぼっくん」という)に変えて応対していたが、途中でいい加減うざったくなってきたので、「へけけ」(これまたおぼっちゃまくんの口ぐせ)と相槌を返すだけにしていたら、夫に「なんか、ごめん…」と謝られた。笑
閑話休題。
翌朝、乾いた眉ティントを剥がしてみます。
ちゃんと染色されているかな。
じゃーん。
ちゃんと染まってた。
ちょっとばかり凛々しすぎるやも。
でも、まぁちゃんとメイクする時には眉尻は書き足すので、そうすれば太さと長さのバランスも取れるかな。
もしくは、次から少し明るい色にすると印象が柔らかくなってよいかもしれない。
とまぁ、こんな微調整がしたい時にも、アートメイクではなく眉ティントならば数日で落ちてくれるので、安心。
この後、メイク落としを使ったり石鹸で洗顔したりしたけど、3日間くらいは維持できた。
わたしはライトな拭き取りメイク落とし(Biodermaのクレンジングウォーター)を利用しているのですが、もっとしっかり落とせるタイプだと、落ちが早いかもしれない。
週に2回ほどは、入浴中にアルガンオイルでフェイスマッサージをするのだけれど、その後はさすがにいつもより少し薄くなってしまったりした。でも染色したてのものが完全に落ちてしまうことはなかった。
はなから恒久的な染色は求めていないので、許容範囲である。
そしてやっぱり、眉がちゃんとしているだけで、顔の印象は締まるものですね。
日焼け止め下地を塗って、眉ティントしていれば、見た瞬間に「寝起きかよ」と突っ込まれそうな雰囲気は随分と和いだ。
近所のスーパーへの食材買い出しくらいならば、これで行けちゃいそう。
やってみて正解だったと思う。
おぼっちゃまくんの思い出
ここからは完全に余談。
上でも少し触れましたが、小学2、3年生の頃のわたしは、放送されていた「おぼっちゃまくん」のテレビアニメを、妹と一緒に、毎週楽しみに見ていた。
なんだったら両親も一緒に見て笑っていた(原作はギャグ漫画なのです)。
おぼっちゃまくんは、移動手段として「ピエール」「カトリーヌ」という名前をつけた亀を飼っているのだけれど(亀に乗って登校する)、それに影響されて(なのかは定かではないけれど)、小学4年生くらいから中学生までイシガメをペットとして飼ったりもしていた。
それから数年後。
おぼっちゃまくんの記憶も薄れた頃、高校生になったわたしは家族旅行で訪れたタイのホテルで、思いもよらない形でおぼっちゃまくんと再会する。
朝目が覚めて、出かける支度をしながらホテルの客室に設置されたテレビをつけると、なんと「おぼっちゃまくん」がタイ語で放送されていたのだ。
当時、タイでは日本のアニメーションが流行っていたらしく、みなしごハッチなんかも放映されていたらしい。みなしごハッチなどは、「苦境に負けない」という教訓めいたものも含まれるストリーだしわかる。でもおぼっちゃまくんは完全にギャグ漫画だし、小学生同士の友情のようなものが描かれつつも、端々に下品なギャグ(下ネタとか)が散りばめられた作品なのである。
そんなおぼっちゃまくんをチョイスするなんて、タイという国の器の広さにしみじみしていた矢先だった。
おぼっちゃまくんの股間が描写されるシーンで、股間にモザイクがかかっていた。
「えー!!!」である。日本で放送されていたときは、もちろんモザイクなどない。小学生向けのアニメだから、股間って言ってもほら、何ていうか、可愛い描写なわけで。
それがモザイクをかけると、かえって妙に嫌らしいもののように見えてくるから、不思議である。そして器の広さにしみじみした、わたしのしみじみを返せ、とも思った。
いやいや、上品なお国柄なんだよね、きっと。
とにかく、その衝撃の絵面を目にしたわたしは、爆笑しながら家族に報告して、全員で笑ったのは言うまでもない。