先日、加藤レディスクリニック に転院後2回目の採卵・顕微受精でも、胚盤胞が得られなかったことを書きました。
その結果を受けて、「これまでに治療にかかった費用も踏まえて、これからのことを話し合おう。治療費も無限に捻出できるわけじゃないからさ」と夫に言われました。
ちょうど、わたしが外出中に夫からLINEで上記の連絡を受けたのですが、治療を継続するにしても、いつまで不妊治療を続けるのか終わりのタイミングを明確にしようという話なのかなと推測し、家に戻る足取りが重かったです。
今回は治療継続について夫と話しあった内容、説得材料としたポイント、自分で考えている今後の治療方針などを整理してみました。
不妊治療、いつまでやるのか問題
不妊治療をいつまで続けるか、いつ終わりにするか。
これは、治療をしている人ならば決めておくべきことであり、一方でとても決心が難しい問題だとも思います。
どうしても「これまではダメだった、でも次の一回で授かれるかもしれない」という期待を手放すのは難しいものです。
実際、去年の夏前に最初の顕微授精に踏み切った段階では、せいぜい2,3回の採卵&移植で諦めをつけようと思っていました。そのタイミングで夫からは、「費用的に150万円くらいまでが妥当じゃない」と言われていました。(とっくに超えてますけれどね)
正直、その金額に納得はいっていなかったのですが、不妊治療でも体外受精・顕微受精のステップとなると仕事との両立や精神的な負担もそこそこあると聞くし、「まずは2、3回試してみよう。その2,3回のうちに妊娠するかもしれないし」と思っていました。
結局、昨年内に2回顕微受精・2回移植をしてして、それまで通っていたクリニックから加藤レディスクリニックへの転院を経て、さらに2回顕微受精(2回とも胚盤胞まで育たず、移植はならずでした)して現在にいたるわけですが、まったくもって諦めがつかないです。
昨年11月に転院を決めた段階では、高度不妊治療の成否は培養士の腕によるところも大きいという情報をよく目にしていたので、「培養の技術は都内屈指といわれる大手クリニックに転院してみよう」「そのクリニックで2ターンくらい繰り返したら、諦めもつくかもしれないな」などと思っていたのです。「とはいえ、続けてもあと半年かな」とかね。
それが今では、「まだまだ妊娠に向けた道のりは始まったばかりだ、もう少し続けたい」と思ってしまっています。少なくとも、あと1年近くは試行錯誤しないと、わたしの気は済まなさそうです。
不妊治療を継続したくなった理由
なんとしても子どもを授かりたいという気持ちが根底にあるのは言わずもがなですが、それ以外にもこの心理変化にはいくつかの理由がありました。
1. 転院してから不妊治療の心理的・身体的な負担が減った
まず、心理的負担について。
正直、顕微授精をスタートした当時は、自分の治療の方向性もわからず、治療のサイクルも理解できていないので次はどうなることやらと都度ハラハラしていました。その「先行きの見えなさ」が辛かったです。この点は、回を重ねるごとにサイクルを理解したのと、書籍から知識を吸収したことで、ずいぶん楽になりました。
加えて、前のクリニックは家から徒歩で通える距離でしたが、待合室の席が少なく、座れないこともあったり。転院後のクリニックは待合室の席数は十分で、中にはデスク席もあるので、待ち時間が長くなる日はPCを持ち込んで仕事をしながら待つこともできます。
今のクリニックはドアtoドアだと30−40分かかりますが、それでも待ち時間のストレスが少ない方がわたしには気が楽でした。
あと、身体的・心理的な負担に関連しているかもしれないな、と思うのは刺激法。
以前はPPOS法で注射や皮膚吸収パッチで黄体ホルモン剤を補充していて、日中眠くなったりすることが多かったのですが、現在は低刺激法なのでホルモン剤による体調への影響は少なくなっているように思います。
2. 親として子どもを育てることの恐怖心が減った
以前は、「わたしなんかが母親になれるだろうか」「なれたとして、子どもを不幸にしないだろうか」とよく不安になった時期がありました。
子どもは生まれてくる家庭を選べないわけですから、できるだけその時々の最善の対応をしてあげたいと思うのが親心だと思います。とはいえ、いろいろな事情から(例えば経済的な事情や、仕事との兼ね合いなど)ベストな選択ができるとは限らないわけです。というより、ベストを尽くせたと納得できることの方が少ないと思う。
そういった場合に必要以上に自分を責めずに、それでも努力を続けることができるか、そこに自信が持てずに不安に感じることが度々ありました。
この不安・自信のなさは、この半年ほどで、ずいぶんと和らぎました。
変化の直接のきっかけがあるわけではないのですが、ひとつ思い当たることとしては、自分の短所についての捉え方が少し変わったことでしょうか。
わたしが自分の短所だと自覚している性格というか特性のようなものがあるのですが、この半年間でその部分を改めて見つめ直し、その特性をうまくなだめる方法や、むしろ武器として利用する術を考えて実践するということを重ねてきた結果、少し自己肯定感が上がったことなどが理由かな、と思っています。
3、知識を得ることで、まだ可能性はあると思った
治療を進める中で思うような結果が得られなかった場合に、どういった選択肢をとりうるかを理解するために、不妊治療の書籍を読むようにしたことは以前書いた通りです。
前回のエントリでも触れましたが、臨床データを基にすると
- 良好胚盤胞をひとつ手に入れるには、採卵で平均12.8個の卵子が必要
- 出産できる卵子の割合が高い30代半ばまででさえこのような割合であり、高齢妊娠の人はこの2倍くらい厳しい状況になる
わけです。4回の採卵で15個の卵子では、41歳のわたしが妊娠できないのは、妥当な結果なのです。
こりゃ、数こなすしかないわ、ということになります。
数打ちゃ当たるのか問題
そりゃ分母の数は大きい方がよいのは言うまでもありませんが、不妊治療には経済的負担もあるわけで、気軽に球数を打てるものでもないんですよね。
転院を決める前、顕微授精2回が徒労に終わった後の診察で、前のクリニックの医師からこんなことを言われたことがありました。
「41歳の当院のデータだと、顕微授精にステップアップして
1回目で妊娠できる人が●%、2回目が●%、
3回目以降だとガクンと数字が落ちて●%以下になります。
要するに、顕微受精で授かれる人は、だいたい2回までくらいで
授かっているんですよ」
「とはいえ、3回目以降で41歳以上で授かっている人は、その可能性にかけて
ずっと治療を継続してきた人たちなんですよ」
「さて、どうします? 継続します?」
その時はその医師の物言いには、心えぐられるような思いでした。
今は、その数字は妥当かもしれないな、とも思います。
この解釈についてわたしの憶測の域をでませんが、2回目までで受精できる方というのは、それこそ顕微の恩恵を受けている方(≒精子が卵子に到達するところまでにボトルネックがあった方)で、それ以外の方は精子以外にも卵子の質などの問題を孕んでいる方なのではないかと思います。そして、おそらくわたしも後者の部類なのかな、と思っています。
当時は、この医師の発言で通院するのに嫌気がさしてしまったのですが、数打たないと妊娠できないよというデータは、事実その通りだよなと思います。
(転院したこと自体は正解だったと思っていますよ。)
累計治療費を含め、夫と話し合い
ということで、夫と話し合いです。
治療費については、確定申告用にすべて計算してあったのですんなり出ました。
話し合いの時点では、まだ今回の採卵後の顕微培養費用の請求は届いていませんでしたが、それも含めるとちょうど200万円を超えたところ。
わが家では不妊治療費用はわたしが一括して管理しています。大きな出費となるタイミングでは通院の都度、夫に金額を伝えていましたが、合算費用は伝えていなかったので、金額の大きさに夫も少し驚いた様子でした。
「もうそんな金額になってたんだ。。」と夫。
「いつまでも続けるというわけにもいかないから、あと何回とか、あといくらとか、少し目処を立てておかなければいけないね」と続きます。
ああ。やっぱり、治療のおしりを決めようという話の展開になってしまいました。
まだ治療を継続したい。なので、夫を説得する。
率直に「まったく諦めがつかない。まだ治療を続けさせてほしい」と、まずはお願いをしてみました。
うーん、と腕組みする夫の反応も想定内。
ここからは治療を続けたいという気持ちを込めて、どれだけ真剣に不妊治療のことを考えているか、治療方針も検討していて、それに妥当性があるかを伝えて、「こりゃ俺の判断より妥当そうだな」と思わせるためのプレゼンです。
【説得材料1】30代でも胚盤胞を得るには13個の卵子が必要
先ほど触れたデータの話ですね。
40代のわたしは2倍ほど厳しいとしても、26個卵子が取れれば、胚盤胞は得られるであろうという話です。
結果が出る前にやめるから失敗となるのだ、うまくいくまでやるから成功するのだ、というやや乱暴な論理です。
【説得材料2】治療方針:刺激法を変えてみたい
胚盤胞を得るのにたくさんの卵子が必要ということであれば、今のクリニックの自然周期 or 低刺激の2択の方針では物足りないと思っていることを伝えました。
直近2回、低刺激で1回の採卵でわたしが得られた卵子は2つです。あと13個とるには6回も採卵の必要がある。以前のクリニックでPPOS法を採用した際には4つ取れたので、その差分が刺激法によるものだとするならば、刺激法次第で同一の採卵数を得るための期間は半分になる計算になります。
年齢も考慮すると早めに貯卵しておきたいので、刺激法を変えたい、そのために転院も考えている、と話しました。
【説得材料3】治療方針:着床不全の可能性を先に潰しておきたい
仮に胚盤胞を得られたとして、それが着床しなければまた採卵からのゼロスタートに逆戻りしてしまいます。
胚盤胞を1つ得るのにすでに苦労をしているわけですから、着床不全の原因として疑われる項目は、事前に検査しておきたいと伝えました。例えば、ERA,Aliceなどですね。
【説得材料4】男性不妊に関するアプローチも継続したい
以前のクリニックでは、夫は男性外来に通っていました。精検結果が思わしくなく、昨年以降は運動率が低下の一途をたどり、年末には「1%以下なのは確かだが、動いているものは数匹しかいないので、”率”としては出せない」と言われました。
ところが、少し結果が向上していたんです。出不精でまったく運動をしなインドアな夫が、年末ごろから運動をするようになり、その影響もあるのかなと思っています。
不妊の原因が男女半々なのだとすれば、男性不妊の改善のためのアプローチが妊娠につながる可能性も否定できません。なのに、今のクリニックでは、男性不妊に関する提案は皆無です。
その辺りまでケアしてくれるクリニックへの転院を検討したいと伝えました。
転院先の具体検討状況も伝える
ということで、そのような観点から転院したいこと、すでに転院先としてリプロ東京にあたりをつけていることを夫に伝えました。
間髪入れずに「Web説明会も予約したので週末に聴講するつもり」と伝えます。勢いで押し切るのだ、どりゃー!!
(まぁ、実際に転院するかどうかは、現在のクリニックから今後の方針をどう提示されるかにもよりますけれどね)
お金の負担をどう考えるか
臨床データを基に具体的な数字を語ったり、今後の治療について具体的に説明することで、わたしの熱量は夫に伝わったようです。
「うーん、なるほどねぇ」と呟く夫。
ここからはもう”NO”と言わせない方向に持っていくしかない。
「経済的負担のことは、ちゃんとわたしの頭の片隅にもある。
これから家も買わなきゃいけない中で、予算をどちらにどれだけ投下するのか
そういう視点でも考えたいと、あなたは思ってるんだよね?
でも、わたしも働いて家計にお金を入れているじゃない?
仕事はしっかりがんばるし、経済的負担をあなたにだけ背負わせるつもりは
ないから、もう少し治療を続けさせてほしいな」
とゴリ押しです。
嫌な奴だと思われるかもしれませんが、わが家はわたしの方が家計に入れている金額が大きいのです。二人ともフルタイム勤務で、かつ夫はわたしより5つ年下なので、年齢を考えれば自然な話なのですが。
不妊治療は二人三脚なので、夫の納得が得られないままギクシャクしながら進めてうまくいくわけはないのですが、正直に言うと「わたしもお金を稼いできているわけだから、少しわたしの好きなように使わせてくれてもいいのでは」という気持ちはあります。
ただ、そんな言い方しても夫の神経を逆撫でするだけですから、継続させてほしい、協力してほしい、というスタンスで説得するように努めました。
話し合いの結果
なんとか、夫から治療継続の合意は得られました。
ただし「まぁ、せいぜい今年いっぱいかなぁ」と釘を刺されました。
「今年いっぱいでわたしの気が済むといいけれどねぇ、どうかなぁ」と言葉を濁しちゃいました。
ここではっきり同意してしまうと「あのとき、今年中っていったじゃない」と言われかねませんからね。言質はとらせないぞー。
さて。
これからどうなることやらです。
とりあえず、この週末にリプロダクションクリニック東京のWeb説明会を予約しました。転院するかどうかについて、具体的に検討を進めていきたいと思っています。
↓クリックが励みになります↓