365日の顛末

こころとからだの健康、不妊治療、キャリア。試行錯誤の365日の記録。

【不妊治療振り返り】治療開始前。クリニックを選ぶ時の6つのポイント(2020年1月)

少し前に、不妊治療についてのエントリーを投稿して、「その後の治療経過もこれから更新していく」と宣言したのに間が空いてしまった。

 

今回は不妊治療を受けようと思い立ってからの病院選び、治療スタート後のことを記録していく。

不妊治療って、やってみないとわからないことばかりで、今になって振り返ると「こういう視点でクリニックを選ぶべきだったな」と思うことや、「ここで悩むだだけ時間の無駄だったな」と思うこともある。

もちろん、不妊治療の形は十人十色、わたしのケースが他の方に当てはまるかはわからないけれど、いまだから思う「不妊治療クリニックを選ぶ時のポイント」もまとめてみようと思う。

 

わたしも通院先は迷ったし、情報が少なくて困ったりしたので、少しでも誰かの参考になったらうれしいな。

 

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前回までのお話

2019年の年末に受けた会社の健康診断で子宮筋腫が見つかった。

問診で「妊娠を望むならば、不妊治療も受けられる産婦人科を早めに受信することをお勧めする」と医者から伝えられ、ようやく重い腰を上げることにした。

 

↓ 前回のエントリーはこちら。

 不妊治療を受けるに至った経緯と、これまで妊娠を考えなかった理由などを綴っています。

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まずは病院探しから。病院を選ぶときのポイント。

毎年年初にその年に力を入れて取り組みたいことをぼんやりと考える。

1年前、2020年1月のわたしは、医者からのアドバイスのままに、その年の取り組む事項の中の一つとして「不妊治療」抱げることにして、手帳の今年の目標に、「不妊治療に取り組む。授かる」と記入した。言霊任せである。

 

ここまで長いこと後回しにしてきたわけだが、そうと決まれば善は急げ。年明け早々に受信するクリニックを選ぶことにした。

とは言え、不妊治療についてこれまで具体的に調べてこなかったので、どの病院に通うべきなのか、どういった観点から病院を選ぶべきなのかさえ、よくわからないのだ。これは困った。

 

よくわからないながら、クリニックを選ぶにあたって重視したポイントは以下の6つ。

①診察受付時間が長い

②高度不妊治療(ART)を受けることができる

③自宅・職場からのアクセスのしやすさ

④実績・評判が良い 

⑤診療費用

⑥男性不妊外来も備えている

それぞれの項目について、以下に説明していく。

 

①診察受付時間が長い

要は、朝早くから診察開始しており、夜も受診できること。

不妊治療を仕事と両立して進めるのはなかなかに難儀するという話は、不勉強なわたしでも知っていた。わたしはフレックス勤務で時間帯の制限は受けないものの、フルタイムで勤務している。今後も仕事を退職するつもりはない。フレックス勤務とはいえ、11-16時の間は業務対応できることが求められるし、繁忙期には早朝から、あるいは深夜まで拘束されるケースもある。

出勤前・退勤後にも受診できるような診察受付時間の幅の広さは、治療を続ける上で大切なポイントになるはず。そう考えた。

 

加えて言うならば。 

各病院の口コミを見ていると、仕事の調整がままならず予約をキャンセルした方が書いた情報などもあった。中には病院から「不妊治療に真剣に取り組む気のある方しか、当院では受け入れない」と苦言を呈されたとの書き込みもあったりした。

当人だって、不妊治療を最優先したい気持ちがありながら、泣く泣く仕事を優先して診察をキャンセルしたのだろうに、病院からも責められてしまったらたまったものではない。メンタルが崩壊してしまう。

なので、「仕事を続けながら不妊治療を継続できるように、診察時間を長く設けています」というスタンスのクリニックには心惹かれてしまった。

 

②高度生殖補助治療・高度不妊治療(ART)を受けることができる

不妊治療はタイミング法 → 人工授精(IVF)→ 体外受精(AIH)→ 顕微受精(ICSI)というステップを辿るのが一般的だ。

要は、自然の妊孕性に任せてタイミングを測って夫婦生活をして、それで授からなければ人工授精、それでも結果がでなければ体外受精・顕微受精と治療を進めていく形になる。

この治療ステップのうち、体外受精や顕微受精、胚移植など、配偶子(精子や卵子)・胚(受精卵)を体外で取り扱う治療のことを『 高度生殖補助医療Assisted Reproductive Technology:ART 』と総称する。

いざ先々のステップに踏み出すときに治療が受けられずに別のクリニックに転院するのも、紹介状を書いてもらったり何なりと面倒に思える。

しかも、年齢が高くなるほど初期のステップで妊娠できる可能性は低くなるわけだ。まだ30代前半ならば、タイミング方やIVFに時間をかけて、ARTを検討する段階で転院することも検討しても良いかもしれないが、わたしの年齢(当時40歳になろうとしていた)を考えれば、顕微受精まで対応可能な病院の方が望ましいのはいうまでもない。

 

同じような考えの方が多いのだろう。ARTに対応している病院に患者は集まる。患者が多いということは、診療実績数が多いということで、各種ケースの経験数が多い病院ほど診療が熟れているのは言うまでもない。 

 

③自宅・職場からのアクセスのしやすさ

 ①の「診察受付時間」と同様に「通院しやすさ」に直結する問題である。
仕事と両立しながら不妊治療クリニックに通院することに難儀する女性が多いことは先に触れた通りだ。
特に、体外受精・顕微受精をするとなると、3日後に突発的に診察が入る、といったことも少なくない。
そういった場合に休みをとるのは当然難しいし、出勤前や退勤後に通院することや、仕事を中抜けして診察を受けることを考えるとなると、クリニックは自宅から職場へ通勤する途中にあるのが望ましいな、と思った。仕事を中抜けするとなると、職場の近くの方が便利なのかもしれない。

 

評判のよいクリニックを探す過程で、会社のオフィスビルのすぐそばに著名な不妊治療クリニックが入っていることを知ったのだが、わたしはあえてそのクリニックは選ばなかった。

前職のオフィスがそのビルだった事に加えて、そのビルは多数の飲食店が入っていて現職の社員もランチ等で足を運ぶ場所だ。同じ建物の中に入っているクリニックに通って、知り合いに出くわすことを考えると肝が冷える。

 

そんなこんなで、一旦は自宅近くのクリニックを選ぶことにした。

今となってはコロナで在宅でのリモートワークが日常となったので、自宅近隣のクリニックを選んだことは結果として正解だった。でも、出勤してオフィスで仕事をしている方であれば、オフィスに近いクリニックを選んでおいた方が通院しやすいだろうな、と今振り返ると思う。

 

④実績・評判がよい

各クリニックのWebサイトを確認すると、体外受精・顕微受精の診療件数を掲載している病院もある。中には、診療件数に加えて着床に至った件数まで公開しているクリニックもある。

各工程での着床率まで割り出して比較、といったことまではしなかったけれど、対応件数は参考になった。診療実績数・対応件数が多ければ、医療者の経験も豊富になり、各種ケースの対応幅も広がると考えるのが自然だと思う。

 

 

かつ、クリニックの評判が悪くないかも調べてみた。

「病院 / 口コミ / 評判」などで検索すれば、病院のレビューサイトがヒットするので、候補にあげたクリニックのレビューは簡単に目を通した。

レビューを見て実感したのだが、不妊治療は特に患者の口コミは意外とアテにならないかもしれない。「こんなことを言われて/こんな対応をされて、不快に思った」「この病院で授かれた/結果が出なかった」などのレビューが多いけれど、前者については主観的な情報が多いし、後者に関しても前提条件のエビデンスはないわけで、個々の抱える妊孕力に依存する治療なので、同じことが自分に当てはまるとは限らない。

加えて言うのならば。この時に選んだクリニックから転院して、現在のわたしは別のクリニックに通っている。今通っているクリニックは、口コミを確認した時に「スタッフの対応が悪い」とWebでは悪い口コミも散見した。でも実際通い始めたら、わたしはスタッフの対応に不満を覚えることはさほどなかった。「対応の悪さ」についての指摘って、その人がクリニックの診療・サービスとして何を重視しているのかに大きく依存する。そして主観的である。なので、よっぽどひどいことが書かれていなければ、さらっと目を通しておいて「このクリニックではそんなこともあるのだな、ふむふむ」と参考に留める程度で十分だなと、今振り返ると思う。

 

⑤診療費用

気になりますよね、治療の費用。コストいくらかかるの問題。ない袖は振れぬし、できれば低コストで高度な治療を受けられるほうがよいに決まっている。

なんせ、不妊治療といえば治療費がネックになって継続を断念するカップルも多いくらいだ。ここは大事な選択ポイントのはず、と考えて、候補先にあげたクリニックについては、Webサイトの診療費用を調べてみた。

ただね、結論から言うと、Web上に掲載されている費用から正確な治療費を計算することはかなり難儀する。それが何故なのかは後述するけれど、結局わたしも大まかな費用を確認して、「他のクリニックと比較して法外な医療費を請求されるわけではなさそう」と確認するに止まった。

 

まず、費用に関して何を確認するべきか。

先に、不妊治療はタイミング法 → 人工授精(IVF)→ 体外受精(AIH)→ 顕微受精(ICSI)というステップを辿ると書いたけれど、タイミング法・人工授精までは月の治療費は2〜5万円以内に治ることが多い(諸々の検査結果を受けて、手術などの特別な処置や、投薬が必要になる場合を除く)。もちろん、クリニックによって多少の費用の違いはあるけれど、わたしが通ってるクリニックは人工授精は1回2万円弱だった。

もちろん、初期治療のコストも抑えたいけれど、体外受精・顕微受精のステップに進むと、初期ステップのコストの差なんて吹っ飛んでしまうので、初期ステップの治療費でクリニックを選別するのはナンセンスだと思う。

 

家計に大きく影響してくるのは、体外受精・顕微受精のステップの費用だ。

Webサイトには治療費が明確に書かれていないクリニックもある。これは個人の肌感覚ではあるけれど、治療費を掲載していないクリニックは、そもそも高度不妊治療の対応件数・実績自体が少ない院が多い印象を受けた。

 

そして体外受精・顕微受精の費用体系は院によって異なっている上、どこも複雑なのだ。少なくとも、まだ不妊治療を受ける前の段階においては、自分のケースで実際にどのくらいの治療費がかかるのか目処を立てるのは、不可能に近いと思っている。

なぜ費用が予測できないか。最大の理由は、「成果報酬型」の費用システムをとっているクリニックが多いためである。要は、何個採卵できたか、着床の成否などによってかかる費用が変わる、というケースである。採卵数が多いほど費用が高くなるわけだが、自分が1回で何個採卵できるかなんて、治療が始まらなければ予想のしようがない。いわんや、着床をや、である。ここでは、採卵できなかった場合にどのくらいの費用がかかるか、採卵個数に応じた最低費用、最高費用を確認すればそれで十分だと、わたしは思っている。

それに加えて、採卵に向けてどのような卵巣刺激法をとるかによっても費用が変わってくる。刺激法によって処方される薬も異なれば、注射の有無、診察の回数も変わってくる。これも診察を受けてみないことには、自分にどの刺激法が合っているかはわからない。

そして、採卵・移植の段階でオプションをつけるかどうかでも多少費用が変わってくる。例えば、孵化補助(Assisted hatching:AH)や着床前診断(PGT-A1)の要不要によっても、数万円単位で費用が変動する。当然、診察を受けないとオプションをつけるべきかはわからないわけだが、当初のクリニック選びではオプション費用などは無視して問題ないと思う。

要は、人工授精のタイミングで大まかにどのくらいの費用がかかりそうか、体外受精・顕微受精に進んだときに、最低どのくらいのコストがかかりそうか、最大どのくらいのコストがかかりそうか、移植の費用はいくらか、それを確認できていれば十分である。

そして、その採卵個数や診療方針による治療テーブルはクリニックによって様々なので、横並びで比較できるものではない。候補に入れているクリニックの費用に目を通して、他のクリニックから大きく乖離していなければ問題ないと考えるのが妥当だと思う。

 

⑥男性不妊外来も備えている

わたしがクリニック選びをするときに漏れていたポイントが「男性不妊外来の対応をしているか」。 

不妊症の原因の半分は男性由来のものと言われている。なのでら不妊治療では女性側の検査と並行して男性側の検査も行う。検査の結果を受けて男性側にも不妊原因がある可能性があれば、男性不妊外来の診察を勧められることもある。

実際、わたしたち夫婦は男性不妊の可能性もありそうだということになった。わたしが選んだクリニックは男性不妊外来も備えていたので夫とわたしは同じ院に通っている。男性側と女性側で通うクリニックが共通であれば、検査結果の伝達もスムーズなので、何かと手間が省けると思う。

あとはね、不妊治療って女性がイニシアティブを取らざるを得ないケースが多いと思う。特に、治療の初期。男性にも当事者意識を持ってもらうという意味で、治療初期に男性不妊の検査も同時に行えるようにするためにも、男性不妊外来がある院というのもクリニック選びのポイントになり得るな、と今振り返ると思う。

 

 

ここでおさらい。

 

わたしは上記の6つのポイントでクリニック探しをしてみて、自宅近隣にある梅ヶ丘産婦人科に通うことにした。

この6点に加えて、JISART認定のクリニックであること、院長先生が京大で高度不妊治療を専門に研究して、医学博士号を取られた方だった、ということもクリニックを選ぶ後押しになった。

 

 

長くなったので、今日はここまで。


次回は、初診のことと、梅ヶ丘産婦人科についての詳しい情報を書いてみようと思う。