先日の日記にも書いたけれど、ここ数年で自分の手持ちの服が自分に似合わなくなってきているのを感じている。
かといって、なにがいまの自分に似合うのか、よくわからない。
完全なおしゃれ迷子である。
物を減らすことを意識してから、すぐ飽きてしまう物やあまり気に入らないアイテムを買って何となく間に合わせることへの抵抗も強くなった。
シンプルで気負いがない、でも、ほどよく品がある、わたしに似合う服装ってどんなものだろう。ここのところ暇があると、そんなことを考えている。
20代、30代の頃は、こういう服装をしたいという像がいくつかあったのだけれど、ここ5年ほどあまりそういったイメージが湧かなくなってきている気もする。
わたしのおしゃれ魂はすっかり枯渇してしまったのかしら、とちょっと心配しつつ、ゆっくり時間をかけて自分にしっくり馴染むスタイルが見つかるといいなぁと思っている。
まだ40になったばかりだけれど、40代を通して使えて(なんだったら50代になっても使い続けたい)、着心地がよくて管理も楽ちんで、シンプルなお気に入りのアイテムを、少しずつ揃えていきたい。
それはさておき。
今年に入ってから物を減らすために始めたゆるい断捨離のおかげで、修理に出そうと思ったままクローゼットに眠らせていたブーツを発掘して、久しぶりに履きたいなと思って修理に出してみた。
予備校生の時、18の冬に買った黒い革のブーツ。
自分のお金で買った、初めてのブーツだった。
甲の部分を斜めに走るファスナー、スクエアな爪先、珍しいヒールの形がとても気に入って、当時のわたしにしては奮発して買ったお気に入りのアイテムだ。
クローゼットから発掘されたそれは、ヒールはボロボロ、ソールはところどころヒビが入り始めていた。どこまできれいに治せるのか、修理にどのくらいの費用がかかるのかも分からないまま、近所の靴の修理屋さんに持って行ってみた。
修理屋さんは細かく靴をチェックしてくれて、ここをこう直したほうがいい、この部分はそのまま使って、少しだけ手を加えるのがよい、などとてきぱきと説明してくれた。
費用も、新しく気に入るブーツを1足買うよりもずいぶんと安い。
(しかも、気に入るブーツを探すための時間的リソースも換算したら、すごくお得!)
それで、そのまま修理を依頼してから待つこと3週間。
ブーツが修理から戻ってきたら、裾をロールアップした薄い色のデニムに合わせて履こうとか、あのスカートにチャコールグレーのタイツを履いてブーツに合わせたら素敵かも!とか、妄想ファッションショーを楽しんだりした。
ふと、わたしのおしゃれ妄想力が復活していることにうれしくなったりして。
先日、修理が完了したとの連絡があり、ブーツを受け取りに行ってきた。
すっかりきれいな姿になって戻ってきた、お気に入りのブーツはこちら。
ちょっと辛口なデザインがすき。
細身だけどスクエアなトゥで、しなやかで柔らかい革。
フェミニンにもカジュアルにも合わせやすい。
このヒール、不思議な形もすきだし、安定感があって履き心地がよいのだ。
改めて眺めてみて、わたしはこのブーツが気に入っている、と思う。
試しに履いてみると、その履き心地が失われることもなく、わたしの脚の形にしっくり馴染んでいた。
18歳の冬、ブーツ売り場で買おうかどうか迷って1時間くらい過ごしたこと。買う決心をつけられずに帰宅して、その後何度もお店に見に行って、散々迷った末に買ったこと。予備校に履いていった初日に、友人に「ブーツ素敵ね」と言われて、「そう?」と答えながらも心底うれしかったこと。買った当時のことが思い出される。
18歳の時のわたしに「そのブーツね、20年経ったあとも、修理に出して履いてるのよ」と伝えたら、当時のわたしはどんな顔をするかな。
ちゃんと吟味したお気に入りのものを、大切に育てて、いつの日か肩に力が入っていないのに「スタイル」のあるマダムになれたらいいなぁと思う。