365日の顛末

こころとからだの健康、不妊治療、キャリア。試行錯誤の365日の記録。

それ、Notionでよくない?情報整理の万能ツールNotionにハマった理由。

最近、Notionというツールにハマっている。

しばらく前から、名前はWebで目にしつつも、触ってみるには至らなかったんだけれど、遅ればせながら使い始めたらこれがめちゃくちゃ便利だった。

どう表現すればよいのか難しいけれど、わたしの感覚では

  • EvernoteのWebクリップ機能
  • GitHubのWiki機能
  • Google ドキュメント
  • Google Spreadシート

これがひとつになった、全方向お任せあれみたいなツール。

 

 

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使い始めたきっかけはEvernoteへの不満

わたしはメモ魔なので、かれこれ10年近くEvernoteを使ってきた。

Webで気になった記事のクリップ(仕事・Tech関連・レシピなど)、ちょっとしたPDFの保存、仕事の軽い議事録、個人的な日記、夫と共有する忘れてはいけない情報(郵便受けの鍵の暗証番号とか)はほとんどEvernoteに保存してきた。

あとは、個人的にリストにして管理したいものの多くもEvernoteでリストを作っている。(その年のアクションプラン・目標リスト、気分転換リストとか。詳しくは後述。)

Evernote無料版はノート容量、月間アップロード容量に上限があるので、Webクリップの容量が増えるにしたがって、ここ数年は制限を取っ払うために有料のプレミアムプランも利用していた。

議事メモやタスクリストについては、その時々でGoogel KeepやMicrosoft One Noteに浮気したりしながら、それでもメインはEvernoteを利用していた形だ。

 

 

でもEverNoteには時折ちょっとした不便を感じていた。

 

不便の理由の一つ目は、Markdown記述ができないこと。

現在勤めている会社のデフォルトのコミュニケーションツールはSlackで、他にもコンフルやBacklogとかを併用している。なので、Markdown方式を使う機会がどうしても多い。一度その記述式に慣れてしまうと、それが使えないことに不便を感じてしまう物で、メモを取る際にMarkdownが使えないことがタイムロスに直結するように感じられる。

 

二つ目は、Google ドキュメントからのコピペが効かないこと。

これまた会社のデフォルトが、GoogleドキュメントとMicrosoftオフィス併用なのだけれど、Google ドキュメントから Evernoteにコピペをすると、体裁が崩れてしまうのだ。

わー、体裁整えるためだけに時間使うとかバカバカしい。きれいにコピペできるツール使いたいよ、と思っていた。

 

三つ目は、クリップしたデータ間の関係づけがしにくいこと。

Evernoteもノートブックとして複数のページをひとつにまとめたり、タグで管理したりする他、他のノートへのリンクをつけることはもちろんできる。

でも、各情報を親子構造で紐付けたり、1:Nになるようなデータを紐付けて管理するとなると、ちょっと煩雑になる。もっと簡単に直感的に、RDB的な発想でリレーションをはれるといいのにな、と常々思っていた。

 

四つ目は、データの読み込みに時間がかかること。

PCでも使うし、出先でiPhoneのAppでEvernoteを開いて、ちょっとした情報を確認したいこともままある。読み込みに時間がかかって表示するまでに数秒待たなければならない時もあって、地味にストレスを感じていた。

 

五つ目は、有料であること。

上述の通り、Evernoteを無料で使用することもできるのだけれど、ちょっとした資料などを添付しようとしたり、大量のクリップをしようとすると、容量制限をくらう。

近年は、データのアップロードはGoogle Driveにもできるわけで、有料プランを使う必要性は薄れてきてはいるけれども。

 

ちょうど、EverNoteプレミアムプランの年間更新時期が3月半ばなので、

上記のような観点から、そこで解約してもいいかなー、などと少し前から思っていた。

それで改めてNotionに関する記事を読んでみたら、わたしのニーズにきれいに応えてくれるツールだったのだ。

 

Notionってなに?どんなことができる?

この疑問への回答は、すでにあちこちでWeb界隈の方々が紹介している記事がたくさんあるので、そちらを参照してほしい。

 

ざっくりとできることを理解するには、このページがわかりやすい。

note.com

 

こちらも。アカウント開設の手順と、最初に何をすべきかも少し書いてある。

seleck.cc

 

あらあら、便利なんじゃないのNotion。

しかも、2021年中に日本語にローカライズするという記事も昨年末に出ていた。

人気の情報共有ツール「Notion」が2021年中に“日本語対応“へ──日本第1号社員を直撃 | DIAMOND SIGNAL

 

しかも、EverNoteに蓄積していたデータのインポートもUI上の簡単な操作だけで完結しちゃうという。

これは使わない手はない、善は急げだ。

ということで早速、EverNoteのノートブックをいくつかインポートしてみた。ちゃんと連携されている!(当たり前だけど)

 

早速使ってみた。わたしの使い方。

まずはリストの作成である。(★印はこれから作りたいもの)

  1. ワードローブリスト
  2. 不動産物件内見物件リスト
  3. 2021年のアクションプラン・目標
  4. 気分転換リスト
  5. アナログレコードリスト★

 

ワードローブリスト

ワードローブリストはスワンさんのYoutubeでの解説を参考にした。

こちらの動画の解説欄から、動画内で出てくるワードローブリストのテンプレートがダウンロードすることもできちゃう。スワンさん、太っ腹。

 

スワンさんのテンプレートをベースにしつつ、わたしは各アイテムの「購入金額」を「購入年からの年数」で割り戻し、「1年あたりのそのアイテムのコストがいくらになっているか」も表示する形式にした。

というのも、ちょっといい服を買う時もあれば、例えばユニクロとかで安いけれど1シーズンで気倒すような服も買うこともあるのだけれど、それなりに高額なものについては10年、物によっては20年使っているようなアイテムもあったりして、実際どちらのチョイスの方が高くついているのか、データにして確認してみたいな、と思ったため。

最近、ファッションに対しての情熱が薄くて、「この金額ならば、買って失敗してもいいか」というような安易な妥協から、安価なものを吟味せずに買って後悔するきらいが強いので、それに対する警鐘としてそんな項目を作ってみた。

 

2021年のアクションプラン・目標

毎年、年初に立てているその年の行動指針とかマインドセットのようなもの。

今年もEvernoteに箇条書きでリストアップしていたけれど、Notionに移行するにあたって、さらにチャンクダウンして、細かいアクションに落とし込んで整理し直してみた。

 

不動産物件内見物件リスト

上記の今年のアクションプランには「中古マンション購入・リノベーション」が含まれている。

現在まさに、リノベ会社さん数件に話を聞いて、物件の紹介を受けているのだけれど、内見の件数が増えてくると、どの会社からどの物件を紹介されたか、あやふやになってくる。

加えて、駅ごと、広さごとの物件価格の相場感のようなものを把握したいという狙いもあって紹介された物件をまとめている。

こういったテーブル形式でまとめられるデータの整理は、本当にNotionはドンピシャ。

 

気分転換リスト

うつがひどい時期に作ったもの。

悲観的な考えを反芻してしまう時に、それを止めるべく何をするかという行動リスト。

気分が落ち込むと、どうやって気分転換・発散すればよいかを考えるのも億劫になる。でも、リスト化しておくと選択肢の中から選んで行動するだけだから、それだけで楽。最近は比較的元気なので、このリストを開くこともないのだけれど、いざというときにこのあんちょこがあるというだけで少し気持ちが楽。セーフティネットというか、ちょとしたお守りみたいな物である。

必要に迫られてこのリストを開くときは、思考力が落ちていて小さな選択・決断をすることすら避けたいタイミングなので、なるべく考えずにチョイスできるように、必要に応じて選択肢をフィルタリングできるようにしておきたい

例えば、家でないとできないもの/外出先でもできるもの、お金がかかるもの/かからないもの、体力を使うもの/使わないもの といった観点でソートして、その時に切れるカードをフィルタリングしたいのだ。

あれ、これってまさにNotionが得意なことじゃないか。案の定、まとめてみたらぴったりだった。

 

アナログレコードリスト★

名前の通りである。

まずはWantリストを整理したい。

ふらりと目的もなく散歩に出掛けた先で、ふと気が向いてレコード屋さんに立ち寄ったりする時があるんだけれど、はてさて自分がどんなレコードが欲しかったんだか、パッと思い出せない時があって。

これまではEvernoteで管理していたんだけれど、それこそNotionでテーブルデータ形式で持たせれば、ジャンル毎、国毎、レーベル毎など、入ったお店のレコード棚の状況居合わせてソートして確認できるからめちゃくちゃ便利になると思う。

 

あとは、所有アナログレコードのリスト化

今のところ1000枚程度なので、何を持っているかは把握しているつもりだけれど、しばらく触っていないと忘れるかもしれないし。かつ、今のところ売却するつもりもないけれど、レコードを手放したくなったときに、リスト化しておけば売りやすいと思うので。(売る気になってからリスト作るのは、絶対に億劫だと思う)

 

わたしなりの上手な使い方を探りたい

今後、Webクリップ、議事録はNotionに集約させるつもり。

(とはいえ、昨年までのクリップ・議事録はNotionにインポートせず、そのままEvernoteを参照するようにする)

諸々のリストも、個人で使用しているものは全てNotionに移行させる。

夫と共有しているリストは、(夫の都合もあるので)しばらくはEvernoteを利用するけれど、ファイルの管理はGoogle Driveと自宅のNASサーバーに集約すれば、Evernoteのプレミアムプランを解約しても何の問題もなさそう。

 

ちょっと気になるのは、先週末の夜にNotionが落ちていたこと。

翌朝には解消されていたけれど、仕事の議事メモを保管するとなると、アクセスできない時間帯が発生することがクリティカルになるケースもあるので、サービスダウンの頻度は今後もウォッチしていきたいな。

 

 

そして、Notionで管理すべき物事の第一位にタスク&スケジュール管理を挙げる人も多いようなので、それも近日中に試してみたい

 

↓Notion本体のサイトより

 

 ↓チームで使えるのいいな。タスクの割り振りをBacklogで管理するのって煩雑。。

 

 

↓Googleカレンダーと合わせて使えるところが魅力。


現状、仕事・プライベート共にスケジューラーはGoogle カレンダーを使っていて、仕事のタスクはGoogle To Do ListとMS To Do(旧Wunder List)を使い分けている。

こちらも時折、各ツールに不便を感じていたので、Notionでの集約管理を試してみたい。

 

 

正直、いまのわたしはまだ、「Notionを使う」ことそのものにハマっている段階だなと思う。なので、しばらく楽しみながらいろいろな使い方を試した上で、Notionを使って「効率よく」物事を管理する状態にシフトしていきたいなと思う。

今週聴いた音楽からおすすめピックアップ【ウォーキング中に自宅掘り】

今年に入ってから毎朝始業前にウォーキングを習慣化しようとしていることを、先日記事にした。

www.sophy365.com

 

相変わらず習慣は継続できていて、iTunesで音楽を聴きながら、もくもくと自宅周辺、近所の公園などを歩いている。

 晴れの日も、曇りの日もあるけれど、目が覚めてシャキッとする。

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ここ数日間で聴いた曲の中から、「やっぱりいいわ〜」と改めて感じた曲をピックアップして紹介する。

 

Quantic - Mishaps Happening


だいすきで、アルバムも何枚か持っているQuantic。知ったのはこの曲がきっかけだったと思う。やっぱりこの曲は名曲だと思う。

 リリース当時、JazztronicがMix CDに収録していた記憶がある。

 

 

Wagon Cookin' - Earth


 
アルバムappetizersを代表する曲といえば「Natural High」なのだと思うけれど、わたしはこの「Earth」という曲がダントツですき。CDアルバムを買って、結局12インチも買った。

冒頭から入ってくるフェンダーローズや木管楽器のスモーキーな音色が温かくて心地いい。毎年必ず、11月くらいの冷え込み始める時期に聞きたくなる。
冬の朝にも合う。

 

Lemar - 50/50 (Kings Of Soul Mix)



コンパクトな音色が心地よい。重厚感のあるサウンドって魅力的だけれど、ミニマルな音色も魅力の一つのベクトルたるんだなぁと思わせる説得力。

例えばイントロでエレピとボーカルにフィルターがかかってスモーキーな音に変化する部分で、鋭利なピアノの音がかぶさってくるところなど、音色は少ないけれど、重ねる音が計算されているのを感じる。

オリジナルのR&Bは甘い雰囲気なのだけれど、こちらのMIXは一変してクールでアーヴァンなイメージ。mixの醍醐味というか、トラックの底力に感嘆する。

 

 

Time to Fly - Restless Soul featuring Rasiyah



1月21日(木)に心臓発作で亡くなったPhil Asher。UKハウス/ブロークンビーツのトップDJ/プロデューサー。

わたしは訃報を数日遅れで知った。Facebookのタイムラインに「R I.P.」の文字がたくさん流れていた。

大阪のNOONにDJしにきた時に会ったことがあるけれど、紳士的で素敵なDJだった。

たくさんの別名義を持つPhil Asherだけれど、これはRestless Soul名義の2004年リリース作品。KJM(Kyoto Jazz Massive)の「For KJM」にも収録されていた。

フェンダーローズの音に射抜かれる、大人な落ち着きのこみ上げ系ハウス。

「Time to Fly

    Feel like being ready to define my destiny」

歌詞も前向きでよい。

 

Hocus Pocus - Je la soul


フレンチHip Hopの雄「Hocus Pocus」を知るきっかけになった曲。

このアルバム「Place 54」は捨て曲なしで、全曲かっこいい。

ゴリゴリのウェッサイ系のHipHopは苦手だけれど、こういうR&Bが香るJazzy Hip Hopは涎が出るほど大好物です。

夜にちょいとお酒を呑みながら、頭のネジをゆるめる時にもしっくりとハマる曲。

 

ちょっと話はそれるけど、これを自宅で一時期よく聴いていて、HipHopなんて一切聞かなかったはずの夫が気付いたらこのアルバムを買っていた。

ブレイクに合わせて「Bitch!」「Mother Fucker!」と合いの手的なものが入る曲があるのだけれど、イヤフォンでそれを聴いていた夫が「ビーッチ!!」「マザファカー!!」と呟いていて、「悪いお友達でもできたのかしら」と思ったら、Hocus Pocus歌ってるだけだった。

 

Visual Tools - Keep Reachin' (Keep On Vocal) (1999)


 

1999年リリース。

この頃の、シャッフル要素の少ない、跳ねてない16ビートのハウスを改めて聞くと新鮮。

かつ、ブレイクビーツ好きとしては、こういったストイックさのあるビートってやや無骨で硬質な印象があって、やっぱり素敵なのである。

ピアノのコードフレーズもいい。

 

 

ということで、最近聴いた曲振り返りでした。

 

iPhoneに入れる曲データを見直したい

散歩中は、iPhoneのiTuneで音楽を聴いている。

容量の問題もあって、iPhoneにデータを移している曲は、Macの音楽データのごく一部だ。

散歩中に「あ、そうだ、あの曲聞きたいな」と閃いても、iPhoneにはデータが入っていないということも少なくない。

 

そもそも、音楽データは外付けHDDに保存しているため、PCでもiTunesを開く機会が減ってしまった。

(外付けHDDが旧型なので、Type-CのUSBに非対応で、USB変換アダプタを噛ませるだけなんだけれど、それだけでも心理的ハードルが上がるんだよね。なんせ、ズボラなもので。。)

最近NASサーバーを導入したので、音楽データをそちらに移行すると、昔よく聴いていた曲を幅広く聞き返す機会も増えるかな。

 

 

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MacBook Proを修理に出して、Apple Storeのスタッフの対応に感動した

先日、プライベートで使用しているMacBookが動かなくなってしまった。

わたしが使っているのは、ちょうど2年ほど前に購入したMacBook Pro 13である。

 

動かなくなった理由に、心当たりはある。

心当たりもなにも、開いたMacBookのキーボードにお茶を溢してしまったのだ。

砂糖などが入っていないただのお茶だったことは不幸中の幸いだと言えるのかもしれないけれど、当然焦った。
MacBookのキーボード面、トラックパッド面の水分をよく拭き取り、即座に電源を切った。

 

PCやスマホなどの電子機器に水をこぼしてしまったとき、水没させてしまったときの対処法として、

  1. すぐに電源を切る
  2. 完全に乾いて水分がなくなるまで電源を入れないこと

というのを聞いたことがあったので、それに倣うことにした。

 

デスクの上にタオルを引き、MacBookを90度に開いた状態で、キーボードの部分がデスク上のタオルに接触するように置いて(キーボードの隙間に入った水が拭き取れ切れていなかったとしても、基盤に染み込まないように、キーボードを逆さにした状態にした)、2日放置してみる。

 

 

2日後。

祈るような気持ちで、MacBookの電源ボタンをONにすると。

 

電源が入り、ディスプレイが明るくなり、普段と同じ、パスワードを入力する画面が出てきたではないか。

よかった、無事だったんだ。わたしは胸を撫で下ろした。

が、次の瞬間、わたしの安堵は木っ端微塵になる。

パスワードを入力するためにキーボードを叩くが、なにも入力されないのだ。試しに端から順にすべてのキーを叩いて行ったが、どのキーも入力されることはなかった。ついでにいうならば、トラックパッドも無反応。画面に表示されているカーソルはぴくりともしない。

 

キーボード・トラックパッドの損傷なのか、基盤自体も損傷しているのかを切り分けるために、仕事で使用しているUSBマウスをMacに接続してみたところ、カーソルは正常に動いてくれた。

ということは、キーボードの交換だけで済むかもしれないな。淡い期待を胸に、Apple Store表参道のGenius Barの予約を入れた。

 

 

 

2日後の土曜日に予約可能な空き枠を見つけた。一時期はGenius Barの予約を取るのに難儀して、週末とあれば2週ほど先でなければ予約出来なかったように記憶しているが、コロナ禍が影響しているのだろうか。

 

何はともあれ、予約を入れた時間に夫とふたり、表参道のApple Storeに向かった。

 

PCが壊れたのだから、不要不急ではなく「必要緊急」なのだ、と言い聞かせながら歩く表参道、それでも外出といえるような外出は久しぶりなので、理由もなく心が弾む。

Apple Storeの前に着くと、店舗の前に客が列を作っており、入店しようとする人々をApple のスタッフが整理していた。「密」を避けるための入店制限である。

列に近づくとスタッフに用件を尋ねられる。MacBookを修理したいこと、事前にGenius Barの予約を取っていることを伝えると、予約時間・名前を確認され、Store側の情報と照合した上で、別の列に並ぶように指示をされた。どうやら、予約なしで商品をみるために来店している人と、予約している人を振り分けて別の列に並べるようなオペレーションになっているようだ。

指示された通り、予約のある人の並ぶ列に移動すると、「最近発熱していないか、海外の渡航がないか、咳が出たり味覚がおかしいといったことがないか」をスタッフに確認される。どれにも該当しない旨を伝えると、手指消毒様のアルコールジェルで除菌を済ませた後、手首で検温機され、店内に案内された。

予約時間の5分ほど前に店舗に到着したが、ほとんど待ち時間もなく、想像以上にすんなりと入店することができた。

 

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入店後、担当のスタッフと対面した後、MacBook Proにお茶をこぼしてしまったことを伝えた。

「なるほど。」担当の方は言う。「キーボード、トラックパッドのみの損傷か、その下に設置されている基盤まで水が浸食していたかを確認したいと思いますので、MacBookをお預かりしてよいですか。」

もちろんです、お願いします、と答えると、わたしのMacBookを片手にその人はバックヤードへ消えて行った。

 

待つこと5分ほどだろうか。程なくして戻ってきた担当の方は「確認したところ、基盤は水をこぼした影響はないようです。」とにこやかに言った後、修理の見積書をわたしの目の前のデスクの上にひらりと置いて、こう続けた。

「なので、キーボード、トラックパッドのみ交換してみて、問題が解消されるかをまず確認したいと思っています。お客様が使用されているこちらのMacBookは、キーボードの初期不良が頻繁に起こる機種でして。今回のキーボードの交換については、Apple クオリティプログラムで対応可能ですので、無償交換させていただいて、様子をみさせていただければと思います。」

説明を聞きながら見積書に視線を落とすと、本来であれば4万円ほどかかる費用がApple クオリティプログラムで対応するために0円となると記載されている。

「ただ、キーボード、トラックパッドを交換した上でもエラーが発生する可能性もあります。その場合には、基盤の交換が必要になると思いますが、内容によって7、8万円ほどの修理費用がかかってまいります。その金額となると、修理するか、もしくは買い替えも視野に入れていただいた方がよいかもしれませんね。そのような形で対応させていただいてよいでしょうか。」

「もちろんです。ありがとうございます。」


修理が完了したら電話で連絡をくれるとの説明を受けて、MacBookを預けてApple Storeを後にしたのが17時頃であった。

 

 

 

帰る道すがら考えた。

 

今回はわたしが手を滑らせて、MacBookにお茶をこぼしたことに端を発する修理のはずである。偶然、修理可能な品番だったとは言え、Appleの立場で考えればそれを無償で対応する必要はなさそうなものである。

もちろん、一消費者としてはこの厚遇は非常にありがたいのだが、そのあまりに誠実な対応に正直、面食らってしまった。

日計足らずして歳計余り有り、ということなのだろうか。顧客を満足させてLTVを向上させるためには、足元の修理費用など痛くはないという器の大きさを感じた。

加えて、担当してくれた方の対応の良さと、その他のスタッフの方のオペレーションの美しさ。Appleのスマートさを凝縮したような時間を体験して、感動を覚えた。

 

 

 

その日の19時半を回った頃のことである。

 

iPhoneに着信があった。画面を見てみると、見慣れない固定電話の番号が表示されていた。番号から察するに、都内からの連絡である。

まさかその日のうちに修理完了の連絡が来るとは思っていなかったわたしは、誰からだろうと訝しげながら着信に出たが、なんとApple Store 表参道店からだった。

昼間に対応してくれた担当のスタッフの方は言う。

「修理が完了しまして。まず、キーボード、トラックパッドについては、修理交換をすることで問題なく動く状態になっています。起動自体も問題なくできています。ただ、修理をする過程でメモリにエラーが出ていまして。メモリも交換する形になると、別途5万円ほど修理費用がかかります。なので、一旦、MacBookをお返しした上で、エラーが頻発するようでしたら、再度修理をする形がよろしいかと思うのですが、いかがでしょう。」

「修理中にメモリにエラーが出た」という事象から、このまま使用した時にどのような不具合が発生する可能性があるかを尋ねると、何らか重い負荷がかかる処理を実行した際に、処理速度が遅くなったりフリーズしたりということが発生する懸念があるとのことだった。

最近MacBookで重い作業をする機会も減っている。特に問題が出なければ、余計なコストをかけずに済むかもしれない。そう考え「承知しました、ではその形でお願いします」と答えた。

すると、スタッフの方は「では、いつでもお客様のご都合のよろしいタイミングで、表参道店に受け取りにご来店いただければと思います。当店は20時閉店でして、本日はもうこの時間ですので、また明日以降でも構いません」と続けた。

わたしは礼を言って電話を切った。

 

 

翌日、Apple Storeに足を運ぶと、昨日対応してくれたのと同じ担当の方がわたしのMacBookを手に現れた。受け取ったMacを早速立ち上げ、キーボード・トラックパッドともに正常に反応することを確認する。

その場でいくつかのデータファイルを確認したところ、内部のデータについても損傷は指定なさそうだ。

「では、今回の修理対応は以上となります。もし使用される中でまた不具合などございましたら、ご連絡ください」

にこやかにそう言うその人に、礼を言って表参道店を後にした。

 

 

こうして、わたしのMacBookは修理を依頼した翌日には、無償で問題が解消されて手元に戻ってきた。修理完了は動かないことが判明して3日後である。なんという迅速な対応。

 

加えて、今回スタッフの方とやり取りする中で、こちらが何かを質問する前に、ディシジョンメイキングに必要な情報がスタッフから提供されたことも感動だった。

修理にかかる費用、オプションとしてどのような選択肢があるか。

その選択肢の中で最も妥当性が高く、コストが抑えられ、おすすめなものは何か。

「顧客の立場になって考える。」

そんな精神を体現したサービスを味わって、心底感動した。

 

 

大体、毎回こうだ。

こうしてAppleのスタッフに関わってサービスを受けるたびに、わたしはAppleを少しずつ好きになる。

もうWindowsには戻れないな、と改めて思った。